ノーベル文学賞が8日、スウェーデン・ストックホルムで発表され、作家の村上春樹氏(71)の受賞は今年もならなかった。

母校の兵庫・西宮市立香櫨園小学校では同級生や地域住民らが集まり、吉報を待ったが、ガックリ肩を落とした。

元クラスメートの男性は「もう外れて何年? はよとってもらわないと困るわ」と話しながら見守ったが、受賞とならず「残念だ。早くとってほしい。いつまでもね…」と悔し涙を流した。地域住民の男性は「地元出身の文豪だから、受賞したら、香櫨園小学校の子が元気になると思う。地域が盛り上がる」と期待していたが肩を落とした。同校の稲森義浩校長(57)は「残念というより、楽しみが1年延びたということで」と前向きにコメントした。

校内には、村上氏に関するコーナーが設置され、「みなさんの先輩です」と紹介されている。稲森校長によると「今週に入ってクイズを貼り出して、子どもたちに啓発していた。朝会でも話をした」という。クイズには「村上春樹さんは第何期の卒業生ですか?」や「村上少年はどんなマンガを読んでいたのでしょうか?」といったものが出題されている。村上氏が受賞した場合、9日の臨時集会で子どもたちに報告するのと、同窓会が5年ほど前から準備していた垂れ幕の設置を予定していたが1年先延ばしとなった。

今年のノーベル文学賞は、米国の女性詩人ルイーズ・グリュックさん(77)が受賞した。孤独やトラウマ(心的外傷)、家族関係などをテーマに数々の作品を生み出した。「ワイルド・アイリス」(92年、未邦訳)でピュリツァー賞を受賞している。 【星名希実】